第7章 SEO:無料流入を増やす
広告を止めると売上がゼロになる——このような状態から脱却するには、自然検索(SEO)による安定した流入基盤が必要です。広告流入は費用が続く限り機能しますが、SEOは一度ランキングを獲得すれば広告費なしに継続的な集客ができます。
ただし、EC向けSEOにはブログやメディアサイトとは異なる難しさがあります。この章では、その難しさを理解した上で、Shopify自社ECに特化したSEO戦略を解説します。
7-1 自社ECのSEOが難しい理由と突破口
ECサイトのSEOが難しい3つの理由
① 商品ページはコンテンツが薄くなりがち
商品ページは「商品を見せる場所」のため、テキスト量が少なく独自性が乏しくなりがちです。多くのECが同じメーカー商品を扱っている場合、商品説明文が公式サイトと同一だと「重複コンテンツ」としてGoogleに評価されません。
② カテゴリページが量産されやすい
タグ・カテゴリ・フィルタリング機能によって、中身の薄いページが大量に生成されます。これがクロールバジェットを無駄に消費し、重要なページへの評価が分散します。
③ ユーザーの検索意図が多様
「スニーカー」「メンズ スニーカー 黒」「スニーカー 痛くない 幅広」——同じカテゴリでも検索意図が異なります。すべての意図に対応するページ設計が必要です。
突破口:コレクションページSEOに集中する
ECのSEOで最も費用対効果が高いのはコレクションページ(カテゴリページ)の最適化です。
- 商品ページ(個別商品)より多くの検索需要がある
- 1ページの最適化で、そのカテゴリに関連する大量キーワードを狙える
- Shopifyはコレクションページに説明文・メタタイトル・メタディスクリプションを設定しやすい
7-2 コレクションページSEOで大量キーワードを狙う
ターゲットキーワードの選定
コレクションページごとに「メインキーワード」を1つ決め、そのキーワードに関連する「ロングテールキーワード」も一緒に狙います。
例:スニーカー専門EC「メンズスニーカー」コレクション
| キーワード | 月間検索数(目安) | 競合強度 |
|---|---|---|
| メンズスニーカー | 20,000〜 | 高 |
| メンズスニーカー ブランド | 5,000〜 | 中 |
| メンズスニーカー 幅広 | 3,000〜 | 中 |
| メンズスニーカー 軽量 おすすめ | 1,500〜 | 低 |
コレクションページはこれらの関連キーワードをまとめて獲得できるポテンシャルがあります。
コレクションページの最適化
メタタイトルの書き方
[メインキーワード] | [差別化ポイント] | [ショップ名]
例:メンズスニーカー 幅広 | 履き心地抜群・全品送料無料 | ABCシューズ
メタディスクリプション(160文字以内)
キーワードを自然に含めながら、クリックしたくなるメリットを端的に伝えます。
例:幅広・甲高の方に選ばれるメンズスニーカーを揃えています。
軽量設計で疲れにくく、通勤・普段使いにおすすめ。
サイズ交換無料・全品送料無料でお試しいただけます。
コレクションページの説明文(200〜400字)
Shopifyのコレクション説明文欄に、キーワードを含む説明文を追加します。
例:(「メンズスニーカー 幅広」コレクションの場合)
当店のメンズスニーカーは、幅広・甲高の足に合わせた設計です。
スリムなデザインのスニーカーは見た目はよくても、足の側面が圧迫されて
一日中履くと疲れてしまうことがあります。当店では3E〜4E幅の
スニーカーを中心に取り揃え、長時間履いても疲れにくい商品を厳選しています。
通勤・ウォーキング・旅行など幅広いシーンで活躍するスニーカーをご覧ください。
7-3 商品ページの自然検索最適化
商品ページに独自性を持たせる
メーカーから提供される共通の商品説明文をそのまま使うと、競合と内容が重複してSEO評価が得られません。以下の要素を追加することで、独自性のあるコンテンツを作れます。
- 使用レビューの掲載:実際の購入者からのレビューは、検索エンジンが「ユーザーに役立つ情報」として評価します
- スタッフレコメンドコメント:「スタッフが実際に使ってみた感想」「こんな人に向いている」などの独自コメント
- 詳細なスペック情報:サイズ表(数値表記)・素材詳細・生産国・お手入れ方法など
- FAQ(よくある質問):「〇〇に合いますか?」「プレゼントに使えますか?」など
商品ページのメタタイトル最適化
Shopifyでは商品ごとにメタタイトルを設定できます(設定 → 検索エンジンのリスト → 編集)。
[商品名] [特徴キーワード] | [ショップ名]
例:ABCスニーカー Model01 幅広 4E メンズ 軽量 | ABCシューズ
商品名だけでなく、その商品を検索しそうなキーワード(カラー・サイズ・用途・素材)を含めることで、ロングテール検索からの流入が増えます。
7-4 コンテンツSEO(ブログ・コラム)の活用法
商品ページでは獲れないキーワードを狙う
「スニーカー 選び方」「スニーカー サイズ 測り方」「スニーカー コーデ メンズ」——これらは商品ページや コレクションページでは自然に対応しにくい「情報収集系キーワード」です。
ブログ記事でこれらのキーワードを狙うことで、まだ購買意欲はないが興味は持っているユーザーを取り込めます。記事内から関連コレクションページや商品ページへの内部リンクを設置することで、購買ファネルに誘導します。
ECブログの記事テンプレート
「選び方・比較」系(購買意欲が中程度のユーザー向け)
タイトル例:「幅広スニーカーの選び方|4Eがおすすめの理由と人気モデル5選」
構成:
1. 幅広スニーカーが必要な理由(問題提起)
2. 選ぶ際のポイント3つ
3. おすすめモデル紹介(自社商品)
4. まとめ・購入リンク
「コーディネート・使い方」系(認知拡大・Pinterest流入)
タイトル例:「メンズスニーカーのコーデ15選|カジュアルからオフィスまで」
構成:
1. コーデ画像15枚(各画像に使用商品へのリンク)
2. スタイル別のポイント解説
3. 関連コレクションへのリンク
ブログSEOの注意点
- 記事は月2〜4本のペースを目安に継続投稿する(量より継続性)
- 1記事につき1メインキーワードに絞る
- 文字数は1,500〜3,000字を目安にするが、薄い長文より充実した短文が優れる
- 公開後はGoogle Search Consoleでインデックス登録をリクエストする
7-5 内部リンク戦略で回遊率とSEOを同時改善
内部リンク(自サイト内のページ間リンク)はSEOとユーザー体験の両方に効果があります。
内部リンクがSEOに効く理由
Googleはリンクを「重要性のシグナル」として扱います。多くのページからリンクされているページほど「重要なページ」として評価されます。内部リンクを適切に設計することで、重要ページに評価を集中させられます。
Shopifyでの内部リンク設計
コレクションページ → 商品ページ
(自動で設定されているため特別な作業不要)
ブログ記事 → コレクションページ・商品ページ
記事内の関連キーワードに、対応するコレクションページ・商品ページへのリンクを設置します。
トップページ → 主要コレクション
トップページは最もSEO評価が高いため、最重要コレクションページへのリンクを設置することで評価を渡せます。
コレクションページ → 関連コレクションページ
「このカテゴリをご覧の方は、こちらも人気です」という形で横断リンクを設置します。
7-6 ShopifyのSEO設定チェックリスト
Shopifyのデフォルト設定はSEOに一定配慮されていますが、以下の設定は必ず確認してください。
基本設定
- [ ] ストアのタイトルと説明文が適切に設定されている(「設定」→「ストアの詳細」)
- [ ] カスタムドメインが設定されており、wwwなしに統一されている
- [ ] サイトマップが生成されている(https://yourstore.com/sitemap.xmlでアクセス確認)
- [ ] Google Search Consoleにサイトマップを送信済み
各ページ設定
- [ ] すべてのコレクションページにメタタイトル・メタディスクリプションが設定されている
- [ ] 主要商品のメタタイトルが商品名+キーワードになっている
- [ ] 商品画像にALTテキストが設定されている
技術的SEO
- [ ] 重複コンテンツになりやすいタグページが過剰に生成されていない
- [ ] URLがシンプルで意味のある文字列になっている(/products/mens-sneaker-wide-4e等)
- [ ] 404ページが適切にカスタマイズされており、関連ページへのリンクがある
- [ ] ページ表示速度がスマホで60点以上(PageSpeed Insights)
まとめ:第7章のポイント
- ECのSEOはコレクションページ最適化が最も費用対効果が高い
- 商品ページには独自のレビュー・スタッフコメント・FAQ を加えて差別化する
- ブログは「情報収集系キーワード」を狙い、商品・コレクションへの内部リンクを設置する
- 内部リンク設計でSEO評価を重要ページに集中させる
- Shopifyの基本SEO設定(サイトマップ・メタタイトル・ALTテキスト)を定期的に確認する
次章では、既存顧客をリピーターに育てる施策を解説します。